血が溢れてる。世界の全てが血で染まる。
嗚呼、もうすぐ死ねるのか。
あと僅か、時を刻めば昇華できる。
望み望んだ死後の世界。
愛想が尽きた汚い現。
最後にこの世で学んだ物は
流れゆく血の美しさ。
溢れる赤が美しい。
あの世へ続く魅惑の捷径。
鉄の味が愛おしい。
自ら手向けた最後の晩餐。
強く噴き出す赤い血と。
頬を伝ったぬるい涙。
今までずっとわからなかった。
傷は私を狂わせたから。
ずっと心は枯れていたから。
飛び出した血と流れた涙が思い出させた。
痛いという久しい感覚 体の悲鳴。
ぬるいという優しい温度 心の叫び。
死への扉を叩いた今生まれて初めて自覚した。
嗚呼この形骸・・・ちゃんと生きていたんだね。