本当は死にたくなど無いはずだ
未だ夢も希望も持つ浅はかな若人に
絶望でもなく鬱でもなく
ただ死に神がそっと微笑む
現に浮かんだ空虚のように
ただ全てが幻想だったかのように
誰も若人を見ようとはしなかった
叫んでも足掻いても
のたうち回って歎いても
その声は響きを持てなかった
浅はかな心に生まれた
ほんの小さな傷から染み出た
溢れんばかりの黒い疑問
躯を突き動かしたのは 何の変哲もない好奇心
それを満たすためだけに 重い肉塊が動き出す
窮余の一策この窮地 頭を巡って支配した
何かが終わりを迎える時 そこまできた軌跡の証拠
この命生きてきた証 終わらすことで確かめよう
ここまで歩いてきたんだと
奈落に生身で飛び込むように 地獄に綺麗に降り立つために
体の全てを預けるように 心の闇を明け渡すように
自由な空へと身を投じた この命の終わりを告げる
怪奇な音と飛び散る血が 肉体から出て安堵する
何より嬉しかったのは やっとみんなが 視てくれた事―――